七上八下 2013 10 6

書名 完全解読「中国外交戦略」の狙い
著者 遠藤 誉  WAC(ワック株式会社)

 遠藤誉さんの本を紹介したのは、
2012年5月6日の「China 9 2012 5 6」でした。
 「チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち」という本は、
日本の知識人に大きな影響を与えたと聞きました。
 私は、過去に、何度も、
中国は「党が国家を指導する体制である」と書き、
政府ではなく、党を注目すべきであると主張してきました。
 中国においては、外務大臣(外交部長)も、
外交担当の国務委員も、
中国最高指導部を構成する政治局常務委員のメンバーではなく、
政治局委員でもありません。
 著者によると、
国務院の外交部の部長、つまり外務大臣の「格」は、
党の最高指導部と比較すると、
「ものすごく!」低いのです。
 さて、「七上八下」とは、
中国の最高指導部の「定年」のことです。
 この本では、中国の最高指導部には、
「70歳定年」という原則に基づいた「七上八下」というルールがあります。
 つまり、67歳以下であれば、
政治局委員および常務委員になる資格を持ち、
68歳以上であれば資格を失うというルールです。
 したがって、5年後には、
中国の最高指導部を構成する政治局常務委員は、
習近平氏と李克強氏以外は、すべて引退するのです。
 この本は、中国に関心がある人にとっては、
「必読の書」と言えるでしょう。
 「あっ」と驚くようなことも書いてあります。
それは、別の機会に紹介しましょう。

5年後 2012 11 15
 今日(2012年11月15日)、
中国共産党の政治局常務委員の7人が、
公表されましたが、私の感想は、以下のとおりです。
 「ベテラン中心の布陣。
しかし、これでは、5年後に、
また常務委員が大きく変わる。
一方、政治局員のメンバーは興味深い」
 私は、まだ若いので、
中国の5年後、10年後、20年後をじっくり眺められます。

China 9 2012 5 6

書名 チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち
著者 遠藤 誉  朝日新聞出版

 まずは、引用から始めましょう。
きっと「知らなかった。驚きだ」と思う人が多いでしょう。
(以下、引用)
 「中共中央」とは、文字から言うと、
「中国共産党中央委員会」のことを指す。
 しかし、そこには、
「中国共産党中央委員会政治局常務委員会」というのがあり、
実際上の「中共中央」は、
この政治局常務委員会を構成している「9人の男たち」を指すと考えた方がよい。
 日本人がよく知っている「国家主席」あるいは「首相」も、
この9人の中から選ばれる。
 今、世界は、誰が次期政権の国家主席になり、
誰が首相になるかに関して、非常に大きな関心を示している。
 誰が国家主席になるかによって、
中国の方向性が決まり、自国の政策も決まっていくと考えているからだ。
 だからアメリカは、次期国家主席になるであろうと期待されている、
習近平国家副主席を異例なほどの歓迎ぶりで、もてなしたのだ。
 しかし、中国国内においては違う。
関心は、そこにはない。
いったい誰が「この9人に選ばれるか」、それが最大の関心事なのである。
 なぜなら、中国という国家を事実上動かしているのは、
この「9人の男たち」だからだ。
 国家の方針は、この「9人」の中で多数決によって議決され、
そこで議決されない限り、
国家主席や首相といえども、単独行動は許されない。
多数決が鉄の掟だ。
これを「集団指導体制」と称する。
(以上、引用)
 私は、過去に何度も書いていますが、
中国においては、党が国家を指導する体制です。
さらに人民解放軍とは、党の軍隊であって、国家の軍ではありません。
 さて、集団指導体制というのは、欧米人には、わかりにくいかもしれません。
また、西洋化した日本人にとっても、そう言えるかもしれません。
 海外メディアでは、よく「独裁国家の中国では」と報道されますが、
これに対して、中国人は、不快感を感じるかもしれません。
 なぜならば、中国においては、
「党内の民主化」が、かなり進んでいるからです。
 もちろん、「国民の民主化」は必要ですが、
中国のような巨大国家では、まず党内の民主化を完成させる必要があるのでしょう。
 さて、私の関心事は、現時点では、
「誰が次の国家主席になるか」ではなく、
「誰が次の次の国家主席になるか」です。
そして、「うまく、その道筋をつけられるか」ということです。
 さらに、政治局委員を経ないで、いきなり常務委員になるのは、誰か。
それとも、波乱なく、順当に人事が進むのか。
それが、私の関心事です。
 しかし、指導部の若返りは、常に必要です。
もう長老が支配する時代は終わったのです。
 これからの時代は、柔軟な思考が必要です。
それには、若い指導者が不可欠です。




































































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